インテリア

夏の夜に会える、アールデコ建築

8月も半分終わって、すこし日が短くなってきたのを感じる。じりじり照りつける太陽が沈むと、ちょっぴり涼しい風が舞い込んでくる夜。まだ秋は遠くにある気がするけれど、すこしずつ近くに来ているんだなあ。

夏の間にやりたかったことのひとつ、サマーナイトミュージアムに行ってきた。いつもは17時や18時に閉まる美術館も、夏限定で週末の夜にオープンしているところがある。

そのうちのひとつ、目黒の旧朝香宮邸。大好きな場所で、これまで何度か足を運んでいるけれど、夜に来るのは初めて。ぽっとあたたかい光が闇にうかぶ。

1930年代に建てられたこの邸宅、内装設計を手がけたのはフランス人のアンリ・ラパン。
住人であった朝香宮夫妻の要望で、当時ヨーロッパやアメリカで大流行していたアールデコのデザインが取り入れられた。



ガラスの玄関扉はフランスのガラス工芸家ラリックによるもの。ラリック特有の、繊細な乳白色が美しい。

床のモザイクタイルは天然石だそう。エレガントな色調なんだけど、クライスラー・ビルディングのてっぺんみたいな、とげとげのデザインが斬新な感じ。

インテリアの勉強を始めてから訪れるのは初だったので、これまでとは違った視点でたのしめた。なかでも照明はどれも可愛くて見入ってしまった。

↑こちらはザ・アールデコって感じのシャンデリア。幾何学的な葉っぱの上に花が咲いている。シャンデリアなのに重々しくなくて、個人的にとても好き。

食堂にはよくみると美味しそうなデザインが散りばめられていた。こちらの照明はラリックがデザインしたもので、中にざくろやパイナップルのモチーフが入っている。

壁の植物模様も最高に可愛かった。

階段はアールデコの代名詞、ジグザグデザイン。

そして今回いちばん楽しみにしていたのはこちら。

期間限定で公開されている「ウィンターガーデン」。3階に位置するこの空間は、温室として使われていたそう。マルセル・ブロイヤーの椅子も当初から並べられていたんだとか。

ほかにも館内のいたるところに家具が展示されていた。

しっとり夜に鑑賞する建築もすごくよかった。旧朝香宮邸のサマーナイトミュージアムは8月いっぱい開催されているので、興味のある人はぜひ足を運んでみてほしい。